お久しぶりです。
最近ずっと持病が出たりして体調が思わしくなかったのもあるんですか、100回目なので何か特別な事を書かなければならない思いに駆られまして、なかなかお題を決めかねていました😂
今回のお題は、以前書いたHRT治療による変化と、ちょっと重なる部分もあるんですが、100回目なので私の健康についても個人情報を少し具体的に交えながら、表題の件についてお伝えしようと思います。
何故このようなお題で書くのかと言うと、まぁ例の駄目法案絡みで、トランスジェンダー(なかなか括りの認識がおかしいのですが…)がかなり叩かれていて、私もとても恐ろしいし、本当に一部の方々の物言いには精神的なダメージを受けています。
ですから、性同一性の診断→治療が、どういう経過になっているのかの現状について、知らない人でもわかるよう大雑把に、実情を書いてみようと思ったのが一点。
そんなわけで、100回記念なので先ずは治療での血液なんかの個人情報の様子を晒して見ます笑
血液検査で基準値に男女差のあるものを中心に、直近の私のデータをちょっと晒してみます。
RBC 417 男性427〜570 女性376〜500
乳汁漏出症が酷かった頃は、360くらいでした。
昨年あたりは結構乳汁漏出症が酷かったんですよね💦
Hb 13.2 男性13.5〜17.6 女性11.3〜15.2
これも悪かった時は、11.4だったと思います。
ヘマトクリット 38.7 男性39.8〜51.8 女性33.4〜44.9
このあたりはホルモンバランスによるエリスロポエチンによる造血の影響があると思います。
今はプロラクチン値が下がり、乳汁漏出症が治まったので、酷かった時期よりはコントロール出来ていると考えられます。
ただ、私の場合は治療前もテストステロン値が異常に低かったので、治療前も治療後も、実質そんなに大きくは変わらないんですけど🙃
あとは例えば
HDL76
LDL56
このあたりのHDL比なんかは、多分男性では無くはありませんが、そう見ないバランスかと思います。
女性だとまずまず見るバランスですね。
中性脂肪は43(空腹)
このあたりはホルモンバランスよりも、ダイエットが効いてるのかなと思います。
CK48 男性50〜250 女性45〜210
みたいな感じで、どれも男性の基準値で見ると、ほぼほぼ低すぎるのは見ての通りなんですが、ホルモンバランスがテストステロンがほぼ無い(0.03以下)状態で、エストラジオールが補充されているので、基準値は女性でみられる事になり、これでも問題無いわけです。
その代わり、プロラクチンを上げないように、内科の服薬をコントロールしたり、乳がん検診が毎年必要だったりするわけです。
前立腺がんの可能性はまず無いし、尿酸も下がる。ホルモンバランスのコントロール含めて考えると、結果として婦人科が主治医になります。
勿論血栓症に注意するため、DダイマーやPTなんかの凝固能や肝機能については毎回検査します。
私の場合の受診状況はこんな感じ。
勿論持病は耳鼻科にかかるし、不眠でかかりつけの診療内科もあったりしますけど。
もう一つは、かねてからちょっと気になっていたんですが、フラホルって言葉を皆さんご存知でしょうか?
これも現状のケースデータとして寧ろ主流のお話なんですが、私は医療者として少し思うところがあるので、それも含めて個人的な見解を書いてみようと思ったのです。
先ずね、フラホルってなんじゃらほい?
って思った方は多分沢山いるんじゃないかなーって思います。
私もね、実際に女性として生きようと決意するまでは、フラホルなんて言う言葉は知りませんでした。
フライングで行うホルモン治療→フラホル
と言うらしいです。(違ったらごめんなさい💦)
最初にね、今の日本の医療機関で現状の日本のGID学会のガイドラインがどうなっているのか、治療に至るまでの流れがどんなものなのかを、少し書いてみます。
因みにガイドラインというのは、不可逆的な治療をしても大丈夫な人なのか、生活出来る人なのか等含めて、患者が不幸にならないように、出来るだけ慎重に進める事を、医療者に対して要求するものです。
患者にあーしろこーしろと言うような性質のガイドラインではなくて、医療者がどのように診断、治療していくべきかのガイドラインな事を申し添えておきます。
①学会認定医(精神科医)による診察とカウンセリング
(繰り返しの通院が必要で、人によって数ヶ月〜1年程度かかります。認定医のいない県の方なんかは、通院だけでもかなり大変な労力だと思います。)
④判定会議(身体的な治療をする事が、その人にとって妥当かどうか、GID学会の専門医や法曹家による会議にかけられ判定されます。費用も結構高いです💦)
⑤ここまできて、やっと治療開始です😵💫
(ガイドラインでは、移行後の生活で問題が起きにくいように、RLEを積む事が推奨されます。その後必要であれば乳房切除やHRT治療、SRSの身体的な治療を検討されます。※ただし、どのような順序で行うかは患者の希望に委ねられています。)
こんな流れで治療まで進むのがガイドラインとなっていますが…
これね、RLEの経験値が非常に重要になるわけです。移行した性別で、今より問題無く暮らせる環境の人なのかどうかを、身をもって経験させた上で、身体的な治療が必要かどうかを見るわけですね。
ただね、ごく一部の方を除くと、ホルモン補充療法無しにRLEってなかなか難しいんですよね…
いきなりSRS(内外性器の手術)だけしてから移行し始めるって、相当に難易度が高いです。
1番身体の侵襲が大きく、不可逆な治療であるから。
ですから、実際にはHRT治療を行いながらRLEをつんで、その上でSRSと言うような方が殆どになるわけですが…
これだと混合診療になってしまい、高額なSRSが保険適用されない事になってしまうので、ガイドラインに沿おうとしても、診断無しに手術を行うのと、あまり変わらないという謎ルールになっているのですね🤔
だから、確信のある患者からすると、通院は時間とお金の無駄であり、ガイドラインに沿う意味がないと捉える方が現状多いのです。
その為に、自己判断で勝手にホルモン剤を服用したり、学会に認定されていない医師の自由診療でホルモン注射を受けたりした後、タイやなんかの日本のGID学会に関係の無いところで手術されるケースがとても多くなるのは当たり前ですよね。
このように診断の前にホルモン補充療法を行う事を指してフラホルという表現が使われていてるんですね。
ホルモン治療ってね、実際に現状では自由診療で、美容外科等色々なところで、診断や判定会議の結果が無くても行う事が出来るの。
私は医療者なので、個人的にこれはあまり良くない事だと思っています。
生殖機能において不可逆的な変化がある治療だし、血栓症や肝機能等の重大な致死性のリスクがサイドエフェクトとしてある治療なので、医師の管理の元に行われるべき治療だと、医療者としては考えているからです。
医療的に当然そう考えられているので、診断、治療を行う医療者に対してのガイドラインが改訂されながら存在するわけです。
ただ、ガイドラインに沿っても保険適用がない現状では、時間とお金の無駄だと性違和を抱える人が考えるのも、もっともなんですよね。
手術の技術も症例数の問題で、タイの方が日本よりも技術的に高いと言われていますし、実際に手術するにあたって、タイで手術するなら診断書も1日診断みたいないい加減なものでも良いわけです。
ホルモン補充療法だって、国内でも診断書無しで行えるし、経口薬なんかは個人輸入も出来てしまうのですから。
ただね、先に記したように、ホルモン補充療法自体がリスクのある治療なので、何の知識も無く自分自身でホルモンバランスをコントロールするのはかなり難しいです。
だから医療者である私は、定期的な血液検査をして、知見のある医師の判断の元で、身体と相談出来る状態で治療して欲しいなって思うのです。
(因みに身体的なリスクは、注射より服薬の方が明らかに高い事がわかっています。)
フラホルは素人の判断なので、効果を求めるあまり、だいたいオーバードーズになる方が殆どに見受けられます。
これは個人的な印象でデータがあるわけではありませんが…
私がSNS等で服薬内容を見た事のある方々の個人輸入等によるエストロゲンの服用状況は、とても多くの方が過剰な量を服用しています。
また、中には殆ど効果の期待出来ない量の方もいたりします。
以前書いたように、ホルモン補充療法は魔法の薬ではありませんから、実際はだいたいは望んだような変化は現れないの。
だから多くの方が、効果(変化)を求めて、沢山飲んだり摂取してしまうんでしょうね💦
気持ちはとても良くわかりますが…
でもね他の薬と同様に、多ければ良いわけではないんです。
だから私はそういう方を目にすると、いつも心配になっちゃう。
でも体質もあるし、私は医師ではないし、その方の細かい血液検査の情報があるわけでもないし…
だから他の方に対して、目にして心配はしても、確かなアドバイスは出来ないの。
エストロゲンで、中性脂肪が高くなったりすることは一般的に無いし、寧ろ下がるんですが、ホルモン補充療法で上がると思っている方がいたりね。
自己判断でホルモン摂取している方にそういう方がいるのを目にすると、本当に心配になっちゃう。
精神的な症状もそうで、更年期なんかもそうですが、ホルモンバランスが安定しないから症状が出るわけで…
肝機能や血栓症のリスクや精神症状に気をつけながら、HRT治療は行われるものだと思うのです。
だからね、出来れば医師と自分の身体と相談しながら行って欲しいなって、切に願うの。
加えて言ってしまうと、厳しいガイドラインに沿うのが実質無意味であることは、実はちょっと落とし穴になっている面があります。
どういう事かと言うと、GIDではない人でもHRT治療やSRSが受けられるって言う事なんですよね。
ファッション感覚で個人でホルモン補充したりする事が可能なんです…
だから後悔してしまうような人が出てくる事があったりするわけです。
ガイドラインではね、前述したように、そういった人を除外できるようなステップがあるんですよ。
そもそも昔はともかく、今は知見のある精神科医(GID学会認定医)がいて、その診断を受けるのですから、その時点でいい加減な動機の人は基本的に診断される事自体が難しいと考えられます。
それだけではなくてね、例えば統合失調症であれば、性違和がそこからきた妄想ではないかが判断されるし、うつ病等の合併症があれば、その治療を優先した上で、まだ違和が強く残らなければ、違和の治療も診断もしないのです。
遺伝子検査等で性分化疾患で無いかも確認されます。
判定会議では、意見書は知見のある認定医が推奨されますし、2名以上の認定医を含む精神科医の意見の一致が求められます。
会議は法曹界の人等、他職種の知見者も参加して、治療の可否を判定される仕組みなんです。
生活環境等RLEの状況を加味して、移行して余計に苦しまないかを含めて検討し、判定するのです。
因みに18歳以下15歳の場合は、安全のためにまた別に条件があることも追記しておきます。
興味のある方は調べて見てください。
このガイドラインの概要を見てどう思われますか?
かなり慎重で厳格な判断基準があり、ちゃんとガイドラインに沿うならばGIDを騙るって、なかなか難しいと思います。
「僕も私も、明日から男だ明日から女だ」なんて、ハッキリ言って、全然無理なシステムなんですよ。
でもね、移行する側からすると、現状では前述したように、ガイドラインに沿うのは時間とお金の無駄なんです…
勝手にホルモン摂取して、勝手に手術して既成事実を作ってから、診断書1日でとって戸籍変更したほうが早いし苦労も少なくて済むわけです。
折角システムが出来ても、規制って医療界とはまた別の問題もありますから、なかなか実行性がないというか…
現状ではガイドラインに沿って移行する人の方が遥かに少ないんですよね。
私は医療者ですし、幸い首都圏在住者で通院も容易だったので、ガイドラインに合わせていますが、それを他の全ての方に求めるのは、とても無理があると感じるのも事実です。
実際に受診が始まってから判定会議が終わって、治療開始になるまでの期間、私は「お金も時間もかかるし、色々個人的に嫌だった思い出や苦しんでいた話もしなければならないし、通うだけでも大変だなー。」って思っていました。
私には自分のケースしかわからないし、医療へのアクセスを絞る事は良くないし、解決策はよくわからない難しい問題だと思えてしまいます。
性違和のあるGIDの自殺率はとても高い。
希死念慮を持った事のないGIDは殆どいないのではないでしょうか。
そして自死せずに治療まで進めても、致死性のリスクの高い治療が待っています。
RLEの段階で、周囲の反応で挫ける方もいるかもしれません。
性違和に苦しむ方が、心安らかに他の大多数の方々と同じように、希望を持って生きられる世の中になると良いのだけど…
なかなか私が生きている間は難しいのかな。
今の酷いバッシングを見ると、暗澹たる気持ちになってしまうけれど…
それでも30年も昔に比べたら、環境はかなり良くなってはいますから、本当の意味で理解が深まって、ドンドン良くなっていく事を願っています。