時々、私がメイクを覚えた方法や、モデルをしているハイクオリティさんについて聞かれるので、私がメイクを覚えた経緯を含めて少し書いてみます。
私が低い自己肯定感に苛まれていた事は以前書きましたね。
長い間性違和に悩んで、自分の身体は勿論、顔も嫌いで…
それでも、男性らしくいなければならず、それはずっと私の大きなストレスで、何度かは生きる気力を奪うものでした。
生きて行く為に、せめて中性的でいようと努力して、自分を抑えこんで暮らしていた私は、ある日(ハロウィンでした)仕事場の後輩にメイクされることになります。
そしてそれは、私を非常に嫌な気持ちにさせる経験でした。
全然綺麗にも可愛くもならなかったから…
みんな「可愛い!」「似合います!」って言ってくれたけど笑っていて…
多分面白がっていたと思います。
自分が中性的でいるつもりでいたから、ちょっとは綺麗になるんじゃないかって、自分でも少し期待していたんですよね…
でもね、出来上がった姿を見て、私には鏡の中の自分が、可愛いとかそんな風には全然見えなかった。
私は変顔とかして人を笑わせるのがわりと好きなんだけど、この時は笑われている自分が、本当に惨めで悲しかった。
それまで周りの方に、女子力高い〜とか中性的ですよね〜とか言われていてね、少しだけ自己肯定感を上げる事が出来ていたのに、いざメイクされてみたら残念な生き物がそこにいて…
全然女性性がみられない自分が悲しくてね、こんなんじゃやっぱり駄目なんだ。
もっと頑張らないとって。
私、全然中性じゃないんじゃんって😫
ベースが悪すぎるからこんな事になるんだって。
痛感して、酷く落ち込んだんです。
それから髪とか肌とかのケアを、もっと頑張ってするようになって、歩き方や所作、言葉使いにも気をつけるようになって。
更に数年してから自分でメイクをし始めます。
最初は何を買ったら良いかわからなくてね。
100円ショップや薬局で棚をズラーっと、ポイポイとって買い込みました。
一つ一つ調べながら使ってみて、なんとか
ファンデーション、リップ、アイブロウ、アイライナー、アイシャドウ、チーク、ハイライト
を乗せて、鏡を見たら…
やっぱり残念な感じで、よくわからない感じの人が鏡の中にいました。
鏡を見ながら、何度も何度もそんな日を繰り返して…1年弱くらい後かな?
だんだんと、少し自分を鏡で見て、少し許せるような感じになっていったと思います。
メンズメイクに初挑戦した時😂
それから、月に2回くらいかな?
ちゃんとメイクして、所謂女装?として、買い物に出たりするようになります。
服装はね、元々レディースの組み合わせでボーイッシュな感じのものを着ていたので、新しく買う事はあまりなかったんです。
中性的な格好のままが多かったかな。
それに、手持ちの服でも組み合わせ次第で、いつもより少しフェミニンにすることも出来たから。
この頃には、自分が使いやすいコスメなんかも、ある程度決まっていたかと思います。
当時は男性として就業していたから、フルメイクして出かけられる日がとても楽しくてね。
いつも独りきりだったけれど、買い物に行ったりご飯を食べに行ったりして、その間は本来の自分でいられる気がしてた。
それが私にとっては、とても精神的に落ち着いて過ごせる時間になっていました。
それから、SNSを始めて交友関係が拡がってくると、誰かとちゃんとお話したくなっていきます。
私のままでいても、理解してくれるお友達が身近に欲しかった。
最初はね、意を決して仕事場で1番仲の良い女性のお友達と会う時に、軽くメイクして行ってみたりしたんです。
でもガッツリは、やっぱり怖くて出来なかったな。
彼女はね、「凄い素敵です。カッコイイ!」って言ってくれたけど…
その後「○○さんって、女装趣味があったりするんですか?」って言われてね😵
「ん〜まぁ女装趣味?では無いんだけど…メイクは好きかもね」
って、よくわかんない回答をして、お茶を濁したんです。
友達だから気を遣って褒めてくれたのかな…って、彼女の反応をどう捉えて良いか分からなかった。
だから怖くて言えなかったのかな。
当時の所謂B面?
それから、本当はどう見られているのか知りたくなって、知らない人に会ってみようとします。
色々な所に行って、所謂女装さん達に会ってみるようになると、みんな可愛い可愛いって言ってくれたんですよね。
これはとても嬉しかったのですが、界隈の人ってみんな優しかったから、やっぱり気を遣ってくれたのかな〜って思ってました。
よく雨さんにはB面が無いって言われていたけど、私自身もね、A面に変身がしたかったわけじゃなく…
ん〜…上手く言えないな。
変身はしたかったけど、私が目指して求めているのは一時的な変身じゃなかったから。
今までの男性で生きてきた自分じゃなく、ちゃんと女性的になりたかった。
当時はまだ、女性で生活出来るなんて思えなかったけど、周囲に許される限りは、それに近づきたかったんです。
だからね、界隈の人と知り合うたびに、みんな私とは全然感覚が違うんだな〜って思っていました。
ある方にね、「雨ちゃんは私達と違って本当の女のコだから」って言われて、とてもびっくりしたんです。
あぁ…そんな風に見てくれる人もいるんだって、とても嬉しかった。
当時会った異性装の方々は、みんな感覚も目指すところも、求めるものもそれぞれが違っていて…
それでもみんな優しくてね。
私だけじゃなく、みんなそれぞれ違うのに、それぞれ拒絶することもなく、勿論私にも優しかった。
だからね、褒められると、みんなが優し過ぎて気を遣ってくれてると思っていました。
でもね、そんな優しい方々と会って、素の自分でいられる時間が過ごせる事は、当時の私にとって、とても貴重な時間だったのです。
そんな中でね、ある日新宿ハイクオリティさんのアンバサダーモデル募集オーディションのtweetを目にします。
凄く血迷った感じですが、目にした時にね、何故か応募したいって思ったんです。
私は先に書いた通りの経過で、メイクは独学でした。
だから女装サロンみたいな感じのところには行った事が無くて、最初はコンシーラー?パス装?なんだろう?って思いながら、ホームページを開きました。
そうしたら、女装さんにプロのメイクアップアーティストの方がメイクをしてくれて、衣装を着て撮影したり、一緒に街に出かけたりしてくれる場所なのだと理解出来ました。
そんな場所があるんだな〜って驚いたんですけど、その上そんなところが、メイク用のコンシーラーを開発して、販売するのだと。
そのアンバサダーモデルを募集していて、オーディションを開催するのだと知りました。
当時、私は髭の脱毛はまだ途中で、メイクするときは剃り跡に結構気を使っていたので、凄くびっくりしたんです。
剃り跡を消す為のコンシーラー
そんな化粧品見たことないよ!って。
すぐ応募することにしたんですけど、応募してからちょっと後悔もしました笑
だって私は齢50を超えていて、モデルに応募ってアホかと…
ちょっと冷静になると、ひっそり暮らすはずが、こんなの応募して落ちるに決まってるし、自分が傷付くような事をなんでしたのかと…
頭がどうかしたのかなって、凄く後悔したんです。
ただね、なんでこんな風に脊髄反射的に応募したのか、よ〜く考えてみたんです。
当時は私はまだ受診していなくて、トランスについてはあまり知識もないし、あまり意識が無かった。
私には無理だと思っていたの。
だけどね、ここまでずっと努力してきて、外にも出るようになってお友達も出来て。
それはね、それまでは得られ無かった自分自身を出せるとても大切な時間ではあったけれど、でも生活は中性的にしていても男性だったから、やっぱり本質的には隠したままだった。
だからね、このまま内緒にしたまま死んでいくのかな…って。
死ぬ前に、本当の自分でいたかった証が、何か頑張った証が欲しかったんです。
不眠が酷かった頃の私
私、本当はこうなんだよって。
とても遅かったし。とても時間がかかったけれど、独りでこんなに頑張ったんだよって。
応募した頃の私
応募して、もし書類だけでも通ったら、なんか頑張った証になるような気がしたんですよね。
例え通らなくてもね、応募したという自分の行動自体が、何か頑張った証になるような気がしたの。
そうして、1通の連絡が来ます。
1次書類選考通過のお知らせでした。
結構泣いたと思います笑
今でも大事にとってあったり😅
そうして、2次オーディション、3次オーディションへと進んでいって、幸運な事に選んでいただけて今があるわけですが…
2次を通った頃に、父が亡くなってしまったり、色々な事が重なって、認定医を探して受診を決意する事になります。
2次の面談に行った日の私
まあ、このあたりの話は以前書いたので割愛します。
ただね、ハイクオリティさんとのご縁は、私にとって本当に凄く大きなものだったんです。
2次オーディションの時から沢山のアドバイスをいただいて、沢山の自信もいただけて、私が色々な事を考えるきっかけの一つになった事は間違いないんです。
そしてオーディションを通る度に、次へのモチベーションが私の努力の後押しになってもいました。
ポスターの撮影のあった日のこと。
私はプロのアーティストさんにメイクしてもらえたのが嬉しくて、プロのカメラマンさんに撮影されたのも嬉しくて、大変だったけど本当に楽しくて嬉しくて舞い上がってたんです。
撮影が終わってみんなでご飯を食べていた時にね、先生と話していて言われた事が一つ。
撮影前夜に前乗りした私
撮影がコロナで伸び伸びになっていた為に、当時私は診断が出て、判定会議くらいの頃だったかな?
ゆうちゃんはこの先どうするの?
みたいな事を先生に聞かれて、診断が出た事を話して、治療をしたいって話したんです。
そっか、大変な道を選んだね、茨の道だよ。頑張らないとねって言われたと思います。
違ったかな?笑
でもね、賛成するでもなく、否定するでもなく、真面目な顔でそんなふうに言ってもらって、トランスについても、実例を含めてメンタルのお話とかも少し教えてもらえたと記憶しています。
どんな台詞だったかは細かく覚えてはいないけど、真剣に聞いてくれたんだなって感じて、凄く嬉しかったな。
だからね、私はアンバサダーモデルをしている事も勿論理由ではあるけれど、ハイクオリティさんをオススメします。
勿論メイクをプロにやってもらえると言う経験は、とても勉強になります。
そういうサロンみたいなところって、今は色々ありますよね。
でも、それだけじゃなくてね、オーディションの時も含めて、色々な話を聞いていただいて、教えていただいて、これは個人的な事情ではあるけれど、私のきっかけの一つにもなっていて、私はとても感謝しているのです。
勿論これは私の場合の話で、GIDじゃない性別違和の無い女装さんが殆どでしょうし、医療機関ではないから、違和の相談をしに行くのはお門違いですからやめましょうね。
でもね、実際に綺麗にしてくれるし、アドバイスもくれるし、どんな人にも真剣に向き合ってくれる証拠なんじゃないかなって思うの。
私自身はメイクは独学だったけど、1度プロの方にメイクしてもらうと言うのは、私の経験から言っても、とんでもなく上達への近道だと思います。
あぁ、そんなところまで調整してバランス取るんだな〜ってなることうけあいですから。
そして先生はね、私よりずっと年下だけど、とても明るくてバイタリティがあって美容にも詳しくて、そしてストレートな物言いが出来る方だと思っています。
だから、私のようなタイプではなくてもね、もし綺麗になりたくてメイクで悩んでいる人は、1度ハイクオリティさんに相談してみたら良いんじゃないかなって思います。
ウィッグも服も扱っているしボイトレもありますしね☺️
ちょっと宣伝みたいだけど、私は本当に先生達に今も感謝していて、とても尊敬しているのです。