雨桐悠生 雨さんの軌跡 (女性として生きる事を選択した人の奇跡)

半世紀過ぎてからGIDでMTFだと診断された人です。化粧品のアンバサダーモデルもやってたりします(*´∀`*)

MTF日記(52回目) 最近のトランスジェンダーを取り巻く状況に、1人の現実を生きるGIDが思う事

さて、今回は表題の件について、個人的に感じていることをちょっと書いてみます。

内容的には、正直書いて良いものか凄く悩みました。

 

 

知らない人には少し難しい話も混じってしまうかもしれませんが、一読していただいて、わからない用語等ありましたら、是非興味を持って調べるなり、専門医に聞くなりして、正確に知っていただけたら嬉しいです。

 

私に関して言えば、私はトランスジェンダーです。

ただ、私は個人的な問題により、まだ適合手術は受けていません。望んではいますけどね。


f:id:yutongk610:20220823111300j:image

つまり、トランスジェンダーには様々な段階の方が居るという事実を理解しておいてほしいと思います。

そして、私はGID性同一性障害)でもあります。

 

ここで1つ注意。

トランスジェンダーGIDではありませんからね。

そこは、私以外の方について考える際には、ご注意下さい。

私個人に関して言えば、私はGIDトランスジェンダーどちらでもあると言うことです。

 

私個人について言えば、日本のGID学会の認定医にガイドラインに沿った診断と、判定会議を経ていますので、日本国内どこの病院に行こうと、私はGIDと認定される人です。

 

これね、GIDは4年くらい前までは精神疾患の一部として定義されていました。

2018年…凄く最近の話ですよね。

 

私は、前回書いたように結構優等生というか、社会規範から逸脱しにくいお利口さんとして生きてきたので、なかなか自分が精神疾患というのは受け容れがたく…😮‍💨

家庭環境もあり、なかなかカミングアウトも受診も出来ず、自分が女性であると表現する事は夢のまた夢として生きてきました。

 

言葉の定義的には、中性でもトランスジェンダーなわけですが、まぁそんな言葉も無かったですし、世間的に問題の少ない中性を標榜して、受診も避けてずっと我慢してきたわけです。

 

これがこの3年半〜4年程で、精神疾患ではないと変わったわけですね。

これは、真面目で論理的に行動をとりがちな私には、自分が歩みだす大きな転換期になったと思います。

これも私にとっては1つの奇跡🤗

 

トランスセクシュアルトランスヴェスタイトの分類で分けられた時期もありますが、今はそのような分類はしないので、その話は割愛します。)

 

で、LGBTの認知度が世界的に飛躍的に上がるわけです。

 

そんな中、女子大のトランスジェンダーの受け入れがきっかけらしいです(私は真偽はしりません)が、施設利用、つまりトイレ、更衣室、お風呂なんかの利用に関して、トランスヘイトや差別と言った問題を急に論じる人達が現れ(トランスジェンダーを騙る女装した男性による事件なんかのせいもあるのかな?)て、現在に至るといったイメージを私は持っています。

 

結論から言いますね。

これは私の個人的な結論、現実ですから、勿論万人にといった意味ではありませんので、そこはご理解くださいね。

 

先ずはトイレ。

現在、私は会社では、会社の許可を得て女子トイレを使用しています。

会社には私がトランスジェンダーだと知らない人が沢山いますが、合議の上で管理者の許可を得ているので、普通に使っています。

 

では会社外ではどうか。

基本的にはコンビニ等、共用トイレを探して使用しています。

 

では共用トイレが無い施設ではどうか。

私は女子トイレを使っています。

男子トイレに入る事はありません。

何故か。

過去に、毎回必ずトラブルになったからです。

 

診断前はね、男子トイレにも女子トイレにも入らない生活をしていました。

どうしても無ければ、男子トイレに駆け込んだ時期が結構あったりします。

でもね、ある時期から男子トイレに入ると、100%トラブルが起こるようになりました。

 

怒鳴られたり、手を引っ張って阻止されたり追い出されたりね。

そんな日々を繰り返して、共用トイレにしか入らなくなり、ある日やむを得ず入った男子トイレで、あまりに酷い被害にあった事を契機に、私は二度と男子トイレに入らないと決めました。

非常に不便でしたが、漏らしてでも共用トイレを探して暮らす事にしたんです。

 

どんな被害?

申し訳ないけど公表はしたくありません。

 

殆どの時間を女性として暮らし始める中で、この問題について、仲の良い知人達は声を揃えて、女子トイレを利用するように私に提案しました。

でも、私は当時どうしても気が引けてしまっていました。

例えどんなに女性として生活をしていても、私が女性である事を証明する術が無かったから。

 

そんな中、GIDの診断が降りて、その後私の判定会議も終わり、いよいよ治療が始まる事が決まります。

治療も始まり、改名の申し立てをして、いよいよ新しい職場で、初めから女性として就業する事が具体化してきた頃のこと。

よくある話かもしれませんが、ある日友人のシス女性に、女子トイレを使うように促されました。

「もう治療も始めたんでしょ?女子として働くんでしょ?女子なのになんで遠慮するの?その方がおかしくない?」

って、強引に一緒につれて行かれて、何だか凄く安心したのを覚えています。

それからは、共用が無い時だけですが、女子トイレを使用しています。

勿論被害やトラブルが起きた事はないので、私も被害やトラブルを恐れる必要がなくなり、安心して使用しています。

そもそも個室ですしね。

 

これ、書くと色々言われる方もいるかもしれません。

でもね、多分トランスジェンダーの方で埋没されている方は、みんなそうだと思います。

 

色々意見や議論はあるのでしょう。

でも私の場合、結果的にこれが一番波風が立たない使用方法でした。

 

これが全てのトランスジェンダーの権利、或いは全てのGIDの権利、みたいな分類をしてしまうからややこしくなるのだと思います。

 

少なくとも、私の知る限り、GIDの人はね、みんなシスジェンダーの方と自分を比べてしまっていた時期、若しくは経験が必ずあって、基本的には劣等感の塊なんです。

勿論私もそう。

 

だからね、よく議論しているGIDではない方々より、よっぽど本人の方が周囲の反応を気にしていて敏感なんです。

 

以前で言うトランスヴェスタイトの方々は、謎に自己肯定感高めの人が多いですけどね😵‍💫

 

少なくともGIDに関しては、自分の容姿に対して、最初から自己肯定感の高い人は、私は見たことがありません。

だから治療までして頑張るんですよ。

 

そこの差異がわからないから、全体的な規範を決めようとして、相容れない主張をお互いがして、差別やヘイトが生まれているのではないかと思います。

 

だってね、ヘイト発言してるような人に現実にトイレやその入口で会ったとしても、埋没している人は彼らからはわからないわけですから。

だから権利の主張も差別もどちらも起こらない。

そこに摩擦は起こり得ないんです。

気が付かないんですもの。

 

更衣室はどうでしょうか。

これはね、適応手術を要件にしても良いと思います。

私が会社で更衣室を使用させていただいているのは、下着までにしかならないから。

お風呂やプールみたいに、全部脱ぐなら私の方からお断りしたいです。

そもそも見るのも見られるのも嫌ですよね笑

そして全裸になるなら、気がつくからです。

これがトイレとの大きな差異です。

 

お風呂は?

先程と同じで当然入りません。

だって全部脱いだら、まだ未オペの私は、身体が違う事は、隠していても周りが気がつくでしょう?

これも見るのも見られるのもお互いに嫌ですよね。

 

つまりですね、通常GIDであるトランスジェンダーは、今の環境のままでも、問題が起きないように、それぞれの段階によって、それぞれが細心の注意を払って生活しているんです。

そもそも目立ちたくないんですよ。

埋没してるんだから。

 

でもね、適合手術もして、埋没もしているトランスジェンダーなら、やっぱり更衣室だろうがお風呂だろうが、問題は起こり得ない。

だって全部脱いだって埋没してるんだもの笑

気が付かないんだから問題になるわけがないでしょ?

 

だからね、それをどの段階のトランスジェンダーも一緒にしたり、GIDトランスジェンダーも一緒にしたり、トランスセクシュアルトランスヴェスタイトも一緒にしたり、お風呂も更衣室もトイレも一緒にしたりして、一括に話すから揉めるんだと思います。

これらは全て、無知の為せる事態なんじゃないかな〜って思います。

 

ジェンダーに限らず、全ての差別は無知から起こるものです。

 

でもね、ジェンダーに限らず、知識レベルの差は必ず有って、どんな専門知識でも、全然知らない人や無知な人は、実はマジョリティなんですよ。

 

そして、自分に関わりが無いこと、興味がないことを、他人の為に学べなんて誰にも言えないですよね。

理科や算数でさえ学べない人、学べていない人が沢山いるのですから。

 

そしてマジョリティであるが為に、正常性バイアスがかかります。

だから争いや諍いが起こるのです。


f:id:yutongk610:20220823141603j:image

 

埋没。

文字通りですから目立たないように、問題が起きないように、細心の注意を払って、日常生活を送っている人は、事実沢山実在しています。

 

性暴力の可能性を声高に叫ぶ人もいますね。

でもね、そういった方は性暴力の被害者となった経験があるトランスジェンダー女性が沢山いることを、比率が高い事をご存知ですか?

 

私もそうです。

そんな私達が、被害に遭う事を恐れはしても、加害する事は全く考えられないし、加害の可能性を論じられる事がどんなに苦痛か…

 

多分論じる方が性被害にあった事がなければ、わかるわけないですよね。

どんなに恐怖か。

 

でもね、だから使わせろ!権利がある!とは私は言いません。

だってそんな規定を作ったり、そんな事を主張しなくても使えるもの。

そうなるためにみんな頑張るのだから。

周囲の反応で使うのが難しい施設利用は、GIDはみんなしませんよ。

使える段階か使えない段階かどうかは、GID自身が慎重に判断しているはずです。

だって劣等感の塊なんですから。

 

賛否あるでしょうが、これがGIDでありトランスジェンダーであり、mtfである、私の今の個人的な見解で、現実です。

 

みんな一緒ではないし、みんな違う。

好きにやっているわけでもないし、したいようにしてるわけでもない。

なるべく平穏に、なるべく問題なく暮らそうとしているのです。

ただでさえ自分を抑圧して生きているのですから、これ以上のトラブルは御免被りたいと思って生きているのです。

 

勿論、差別は無くなって欲しいし、GIDでもそうでなくても、誰とでも同じように扱って欲しいし、仲良くしてもらいたい。

同性婚なんて駄目な理由がわからないです。

直ぐにOKにしてもらいたいくらい。

 

だからね、私は運動を否定するわけではないけれど…

私はしないの。

 

一括で整備する為の良い方法を、私には思いつかないんですから。