雨桐悠生 雨さんの軌跡 (女性として生きる事を選択した人の奇跡)

半世紀過ぎてからGIDでMTFだと診断された人です。化粧品のアンバサダーモデルもやってたりします(*´∀`*)

MTF日記(104回目) 恋愛は難しい

今日はね、あんまり私生活的にはネタが少ないので、個人的な恋愛への捉え方について少し書いて見ようかなーって思ってます。


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若い人ってね、思春期を中心に、一般的にはノー恋愛ノーライフみたいなところがありませんでした?

私の思春期は、友人が恋愛のダメージで自死したりね、少なくとも私の周りはそんな感じでした。

 

とはいえ私自身に関して言えば、自分が異性に対して、あまり性的な興味が無かったので、そういう感じは全く無かったんですけど😵‍💫

 

それでもまぁ、周りの男性からは

「好きな女子いないの?」とか

「△△ちゃんが好きなんだ。協力してくれ!」とか

「どうやったら◇◇さんと仲良くなれるかな?教えてくれ!」

みたいな話があって、同調圧力というか周りに合わせるように、当時は恋愛事情みたいなものにそれなりに関わってはいたと思います。

 

女性からも

「付き合って下さい」とか

「☆☆ちゃんと仲良いけど応援しよっか?」とか

「ファンです」

みたいな話があって、こちらもそれなりに適当に合わせていたと思います。

 

当時は逆に男性らしく、男でいてみようと、それなりにそれっぽい事をしてみるように、大学生くらいまでは頑張ってはいました。


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女性の友人や先輩や後輩と、お祭りに一緒に行ったり、誰かと誰かのきっかけ作りの為に、クリスマスパーティー主催して男女集めたりとかね。

ちゃんと私から、一緒に行こうよって誘った経験もあります。

 

以前書いたように男性への恋愛感情に関しては、思春期に1度感情を顕にしたことで、「ホモ」だとか「気持ち悪い」だとか「変態」だとか、誂われたり笑われて、一部の人に酷い扱いを受けてから、男性への恋愛感情を顕にすることはしなくなりました。

女性に対してもね、何ならそれをネタにして、女性からの求愛を断る理由にしてみたりね。

 

どちらにしても、自分から恋愛事に首を突っ込むのは極力避けていて、時に付き合う事に応じる場合でも、身体の関係はあまり持ちたく無かった。

キスやハグは嫌じゃ無かったけど、身体の関係にはちょっと抵抗があって…

付き合うって一緒に過ごしたり、遊んだり、楽しんで感情を共有する事だと思っていました。

まぁ、今でも本質的にはそうだと思ってますけどね🤔


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身体の関係が必須だとは全然思わなかったし、自分の局部を見られたり使ったりするのは、どうしても嫌悪感が抜けなかった。

慣れなかったな。

 

でもね、内心好きな人が出来たりはしていて、決して表に出すことは無かったけど、所謂恋愛感情とかそういう感情自体はあったんです。

この人といつも一緒にいたら幸せだろうなーみたいな感じ。

 

だから感情は顕にはしなかったけど、さり気なくパーティーなんかの時には、ご飯やお菓子作ったりして、美味しい美味しいって食べているのを見て、ひっそりと自己満足して喜んだりしていました笑


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これから書くのは、私の正直な私の当時の感覚なので先に書いておきますが、不快に思うゲイの方がいたらごめんなさい。

私個人の昔話ですから、私個人が本当にどうだったかを書いていて、GやLの方々を揶揄するつもりはないです。

 

私はね、同性を好きになってはいたけれど、自分がゲイだっていう認識は、最初から一貫して全然持たなかったんですよ。

寧ろそうじゃないって強く思っていました。


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性欲とか肉欲みたいなものが無かったからなのか…

自身の身体の違和というか嫌悪感はずっとあったからなのか…

今振り返れば、私が結果的に性違和であったからなのかな?とも思えますが、当時はそんな事全然考え無かったし、正直理由はわかりません。

とにかく自分がゲイだって思わなかったのです。

 

酷い目にあったトラウマなのかもしれないし、私は当時トランスどころか同性愛についても、単純に全く知識が無かったから、アブノーマルなものと認識して忌避していたのかもしれないし、真相は自分でもよくわからないけれど…

 

とにかく自分が女性に生まれていたら良かったのにと思う事は有っても、自分が男性のまま男性に愛される事は、期待もしていなかったし、その願望も無かった。

ただ、なんで普通じゃないのかな…何故自分はこういう感情を持つのだろうと…

ただ、ノーマルだろうとアブノーマルだろうと、自分は恋愛に関して世間とは上手くやれない人なんだなって思っていました。

 

これは私の個人的な体験だし、勿論人によって違うのだと思います。

 

ここまで個人的な体験を書いてきて、結局何が言いたいのかと言うと、私がたまたまバイナリーなトランスだったから、こういう振り返りになるけれど、実際はノンバイナリーだったりレズビアンであったりゲイだったり、私とは違う人も沢山いるんですよね。

 

だからね、私は男性を好きになる事があったからって自分が女性だと思ったわけじゃないし、そんな理由で女性に生まれたかったと思っていたわけじゃないんです。

結果的には自認と指向が一致していましたけど。


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男性に恋愛感情を持つ事はあっても、粗野な人、下品な人は、とても苦手で嫌いだった。

 

女性になりたいと思ったのは、決して恋愛志向は理由じゃないんです。

だってあまり恋愛に興味が無かったんですから。

本当にね、性的指向って性同一性には全く関係ないのだと、今は理解出来ています。

 

孤独感みたいなものは常にありました。

自分と同じような人がいるとは思えなかったし、自分がどうしたいかもわからなくて、ただただ普通の恋愛関係を築けない社会不適合者だと感じていたんです。

トランスなんて言葉もないし、トランスジェンダーなんて、どういった人かさえよくわからなかったから。

 

その後社会人になって、そんな面倒な私を、凄く頼りにして慕ってくれる、一回り下の女性と知り会いました。

彼女は今で言う双極性障害で、リストカットを繰り返しており、自宅の2階から飛び降りたり、自殺未遂を繰り返しているような子でした。

そんな彼女が、ひょんな事から私を慕って家に転がりこんできたんです。

私は若い女性が住み着いてしまう事に少し困ってしまって…

何が困るって世間的な目に困る感じ。

 

彼女のご両親に連絡をしたりして、何とか帰らそうと働きかけたんですが、彼女は頑として聞きませんでした。

私と過ごしていると症状も落ち着くのだと、本人にもご両親にまでも言われてしまい、私は

「このまま一緒に家に住むのならきちんと籍を入れないと」

というような話をしました。

 

意外な事に本人もご両親も、是非にと言う回答で、私は当時かなり面食らった記憶があります。

一方で、私の両親にはとても反対されたのも良く覚えています。

 

ただ、こんな偏屈な私をこんなにも慕ってもらえて、私で役に立つなら何とかしてあげたいと思っていたんですよね。

私ならなんとかしてあげられるという、根拠のない自信もあったと思います。

そんな感じで入籍して、3年弱一緒に暮らしました。

 

私がこんなですから、勿論子供なんて出来ないし、作るつもりもありませんでした。

だってね、私は仕事をして家事をして、彼女の生活だけではなく病気も含めて、全てに対応する必要があったのですから。

 

それでもね、たとえ具合が悪くて寝ていたとしても、帰ると私を待っている人がいるという環境は、私の孤独感を埋めてくれるものだったと思います。

 

後に結構な経済的問題が起きて、離婚することになり、自分の限界を知った私自身も鬱になったりするわけですが…

なんとか男性のまま、普通の幸せな暮しを目指していた頃の私は、こんな感じの恋愛事情を経験してきました。

 

そこからは、生活自体が精神的にも経済的にも大きなマイナスからのスタートで、とにかく生きるのに必死で…

恋愛どころではなく、時に自傷したりしながら数年かけて普通に働いて社会生活を送れるように戻っていきます。

 

そうして、生活が落ち着いてからです。

私が性同一性障害についての知識を得たのは。

 

知識を得た当時の私は、自分に照らし合わせて凄く納得がいったけれど、私は既に歳をとりすぎていて、自分がトランスすることは現実的にみて無理だと感じていました。


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だけど、自分を客観的に表現する言葉を知り、同じ様な人がいることを知り、諦めきれない私は一先ず中性を標榜して生き始めます。

 

そうして生活が中性化し、その後だんだんと女性へのトランスを決意していく中で、次第に周囲からの恋愛事情が変化していきました。

 

これまで女性からしか好意を寄せられ無かった私が、だんだんと男性から好意を寄せていただけるようになってくるわけです。

そうなってくると、私の恋愛や性欲みたいな物に対する受け止め方も、少しずつ変わってきます。

全然性的な欲が分からなかったのに、ちょっと欲が出てくる。

抱きしめられたいとか、連れ去られたいとか…

まぁ自己肯定感の低さからか、ちょっと被虐的なところもあるのだと思います笑

 

でもね、見た目が変わって、男性に求められるようになっても、私の身体は…相手の肉欲を受け入れる身体がないわけで…

自分の欲が出てきたからと言って、なかなか相手の気持ちを受け入れられないんですよ。

相手の欲望を受け止めてあげられない自分の身体があって、とても申し訳ない気持ちになってしまう。


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こういう身体的な欲とは全く別の次元で、元々自分の身体が嫌だとか、身体的な違和は勿論強くあったんですけど、それに輪をかけるように自分の身体がかえって情けなく嫌になるわけです。

 

例えばナンパされたりね、或いは職場の男性に食事に誘われたり、果ては告白されたりね、そういう経験があっても、私には怖くて上手く応えられない。

 

女性として暮らせるようになってからでもね、私の身体がまだ男性の部分があるとか、自分が元々男性で産まれたとか、それを知らないで好意を寄せてくれる方に、都度カミングアウトするのって凄くハードルが高いんですよ。

少なくとも、私にとってはとてつもなくストレス…


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そして身を守る経験のあまり無かった私は、あまりに無防備であったり、あまりにぼんやりしていて、被害にあったりもして、余計に臆病に。

 

だからね、私は今、以前よりも自分らしく暮らせて、周りに受け入れてもらえて、昔に比べればとても幸せに暮らせているけれど、自信を持って生きているわけではないんです。

そしてこれは、ひょっとしたら身体を作りかえた後も、完全には解消されない気持ちなのかも知れないなって思っています。

 

それでも、出来るところまで自分を変えていくことは、今よりはずっと自信を持って生きられる糧になると確信しているのです。

だってそれは、これまでの努力や治療、RLEで実感していることだから。


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それでもなお、私にとっての恋愛は、今もとても難しい問題なのです。

 

これで良いのか、私は愛される資格無いんじゃないかって考えてしまうの。