雨桐悠生 雨さんの軌跡 (女性として生きる事を選択した人の奇跡)

半世紀過ぎてからGIDでMTFだと診断された人です。化粧品のアンバサダーモデルもやってたりします(*´∀`*)

MTF日記(95回目) 看護や介護等におけるジェンダーギャップについて感じる事

「女性障害者が
男性から入浴や排泄介助を受けることは
単なる羞恥心の問題ではありません
尊厳の問題です

心身共にナイフで
ズタズタにされる感覚でした
性犯罪被害に遭っているのと
感覚は変わりありません」

 

こんなものを見かけました。

これね、NHKなんですよ…

 

ちょっとこんなのを見たので、思うところを書いてみます。

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介護や看護についてよく知らない人の為に、誤解がないように現状の話を書くと、前提としてですね、障害者の介護については、原則的に同性介助とされていると思います。

勿論本人の希望確認があって、その上でどこの施設でも対応されていると思うのです。

私の知る限りですが。

 

その中で人員不足で対応出来ないケースが無いとは言いませんが、これはそもそも報酬も高くないし、やりたがる人も多くない、そして資格の必要な仕事であり、経営的にも人員の確保が出来ない場合がままあるわけです。

それでもね、法定で決められた人員は確保した上での話なわけで。

これは、私のような看護師に関しても同様で、病院においても、患者何人に対して看護師が何人必要かが決められているんです。

 

つまり、現行法下で可能な限りの配慮がなされているというのが、まず1つ大前提なのです。

それでも、患者や施設利用者は一定なわけではありませんから、どうしても人数的な齟齬がでてくる場合もあります。

それでもね、患者や利用者の希望を尊重した上で、可能な限り合わせて対応しているわけです。


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看護師に関して言えばね、男性は日本の法律では助産師にはなれません。

アメリカやイギリス、オーストラリアなんかではなれますけどね。

日本は駄目なんです。

数的に絶対的に無理になる産婦人科医のみが男性が許されている婦人科関連の仕事になります。

まぁ現状日本はそういう国ですから、冒頭のような感情を抱く方が多数いるのでしょう。

 

このような実情を踏まえて、介護についても考えてみて欲しいのです。


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男性でも女性でも、同性介助を希望することは、私にも気持ちはわかるし、その気持ちを持つ事自体は、現状の日本ではそういう方が沢山居てもいたしかたない、何ら問題無いことだとは思います。

私だって知らない男性にみられたり触られるのは、医療的な処置なら気になりませんが、(救命という明確なプライオリティがある)それ以外ではやっぱりちょっと嫌だなーと思います。

 

ただ、仕事をしているだけの介助者を性犯罪加害者扱いするのは断じて違うと私は思います。

だってね、きちんと認められた仕事として行っているのですよ。

そしてずっと従事するような人達は、全員では無いかもしれないけれど、殆どの方は誰かを助けたいという気持ちを持って働いている人達だと思います。

じゃないとちゃんとは続かなくて、パターナリズムになるような人はやっぱり評判悪くなるの。

そして本人も苦しくなって辞めていくのです。

これは職業適性と言うものだと思います。

 

私は介護士ではありませんが、大多数の介護士の皆さんは、仕事として誇りを持ってお仕事をされていると思います。

その善意や誇りを、踏みにじる発言を公共放送を謳うNHKで伝えるの事に、私は非常に憤りを感じます。


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男性介助者は犯罪者ではないし、もっと言えば大部分の男性介助者は女性を介助する時、女性介助者よりもとても気を使っているように私には見えます。

 

そしてね、勿論拒否されたら、個人判断で強行するような事は起こり得ないと思うのです。

だってそうやって運用されているはずなんです。

 

私は看護師ですが、男性看護師として働いていた時代もあります。

当時、排泄の介助や陰部の処置は当然病棟で行っていました。

たまにね、女性看護師にお願いしたいという女性は勿論いましたので、その場合は受け持ちを交代していただいていました。

勿論その逆もありました。

でもね、当時の日本の環境でも、多くの方が私でも良いと言ってくださったのは嬉しかった記憶があります。

現状の日本でもね、そう言ってくださるような方も沢山いるんです🙂

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今は転職して女性として働いているので、女性の患者さん、利用者さんに、拒否された事は勿論ありません。(逆に男性に陰部の処置を恥ずかしがられた事はあったりしますが…)

 

そのかわり

 

男性の患者さん、利用者さんからのセクハラ被害があったりします😫

胸を掴まれたり、お尻を撫でられたり、抱きすくめられたり。

そういう方は逆に男性を呼んで交代してもらったり、男性介護士さんを呼んで一緒にいてもらったりして対策します。

だからね、男性看護師や男性介護士が必要ないなんて事は絶対にないの。

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暴力はどうでしょう?

これはね、男性看護師時代も、現在も、どちらもあります。

セクハラにしても暴力にしてもね、ある程度までは甘んじて看護するのです。

行動自体は犯罪と同様ではありますが…

例えば認知症だったり、精神疾患があったりね、その場合は犯罪ではないのですから。

何なら上手くあしらえないのが悪いみたいな感じ😢

 

嫌なら辞めろ

職業選択の自由があるじゃないか

 

部外者にはね、こんな事を言う人もいます。

 

勿論この仕事を好きでやっていますが、こういうのは当然私達だって嫌なんです。

だから色々対策しながら、頑張るわけですね。


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介護士さん達も同じだと私は思っています。

それをね、こんな言様はやっぱり無いと思うのです。

働いている人にも尊厳があるわけで、従事しているだけで犯罪者呼ばわりはないですよ…

 

そもそも、同性介助を希望すれば良いだけの話なのに。

それにより介助が遅れたりする場合はあるかもしれません。

それでも全く対応しない施設が、まともなところにあるはずがないの。

 

自分で同性介助者や異性介助者を雇用したり、その為の余剰人員を確保している施設を選ぶ方法もあります。

勿論家族にだけ介助してもらう方法もあるのです。

 

ただね、多くの施設で人が足りないし、余剰人員が確保されないのは何故か。

賃金や仕事内容など、どんな仕事だからなのか、1度想像してみてください。

 

自分の尊厳を守る事は非常に大切ですが、他者の尊厳も守らなければ、うまくいかないのだと私は思うのです。